演奏家が正しく理解すべきブルースの重要性:前編
2017/09/05
ブルースの重要性について改めて言語化しておこうと思う。やっぱり大事だから。
前編は「耳を鍛えられること」「基礎になること」の2点。
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耳が鍛えられること
ブルースは聴いておくと「おトク」なジャンル。
理由はブルースを土台にできている音楽が非常に多く応用範囲が広いからです。
シャッフルビートが身につく
ブルースはシャッフルビートを体得する最高の練習材料になります。
コードが簡単ですぐに覚えられますからね。
シャッフルビートを気持ちよいと感じるためにはそれなりの鍛錬が必要ですが、込み入った訓練は不要です。とにかく場数を踏みましょう。
ジャムセッションに参加するのが一番良いですが、一人で伴奏を弾くだけでも十分練習になります。
それにセッションと名打つイベントであればほぼ間違いなくブルースはリクエストできます。
小節数の感覚が身につく
ブルースは12小節です。
12小節のブルースという枠組みに触れ続ければ、やがてそれを一塊のブロックとして捉えられるようになります。
どこが終わりでどこが始まりかが体に染みつけば「もうすぐ自分の番だ」「この人がソロを終わらせるならこのタイミングだ」といった予測が可能になります。
予測ができるようになると余裕ができます。自分がどこにいるのかをはっきり把握できるようになりますから。
余裕ができると周囲のフレーズが聴こえてくるようになります。ここから一気に楽しくなりますよ。音楽もコミュニケーションです。
音程感覚が身につく
ブルースは3コードで構成されます。
難しく捉えられがちなコード理論も基本はこの3種類のコードだけ。
ブルースはこの3つを耳で覚えるための良い訓練材料になります。
慣れてくれば進行感の判別もできるようになり、曲の終わりを予測できるようになります。
ジャズのソロにおいても暗記された複雑なスケールの羅列よりもコード進行を利用した文脈作りの方が音楽的だったり。
コードの変化を耳で体得する上で、それがミニマルに凝縮されているブルースはとても良い練習材料になるのです。
基礎になること
改めて整理。
他のジャンルへの拡張性
繰り返しになりますが、現在の音楽の多くはそのルーツをブルースに持ちます。
ジャズもブルースから生まれました。ブルースのコードにテンションを加え、代理コードを挟めばジャズになります。
ファンクの1発コード進行であっても、ブルースの歌わせ方が体得出来ていればフレーズに窮することはありません。
困った時に帰る場所。ブルースはミュージシャンにとって故郷となり得るものなのです。
共通言語としての機能
ジャムセッションにはいろんなタブーがありますが、どんなジャンルのジャムセッションでもブルースだけは煙たがられません。
コードと小節数さえ覚えておけば曲を止めてしまうことはないですし、初心者から上級者まで誰でも使える共通言語としての機能がブルースにはあります。
それだけいろいろなジャンルの基礎として重要な、懐の深い音楽なのです。
前半は以上。後編は歌心について。↓こちらから
2016/10/3 odasis