サブドミナントマイナーが印象付ける心に沁みる愛おしい女性像。【Joy/BONNIE PINK】
2017/09/08
男である僕が言うのも説得力に欠けますが、これほど女性らしい歌詞の曲もあんまりないと思ってます。
BONNIE PINKがこんな人なのか、あるいは他の誰かを描いたものなのかわかりませんが、頭のなかに愛おしいその人柄がすっと浮かんできますね。
愛だの恋だの安っぽい曲は苦手ですが、この曲はちょっと違います。なんというか、心の隙間にズケズケと入ってくるようなかんじ。
サウンド面ではドラムの音作りがすごく好み。
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サブドミナントマイナー
この曲の特徴を一言で表すなら「サブドミナントマイナーの塊」と言ったところでしょうか。
イントロ〜Aメロにかけて2つのコードが繰り返されますが、その2つめのコードがサブドミナントマイナーです。
特にジャズ界隈でサブドミナントマイナーは大人気です。
不安定さとそれゆえの自由さのおかげで、とにかくルールに縛られたがるジャズミュージシャンにとって、サブドミナントマイナーはまるでオアシスの如く憩いの場所になるわけです。
いろんな解釈や方法論がネット上でも散見されますが、odasisはもっと感覚的に「ドミナントとサブドミナントの中間のような斜に構えたふわっとしたコード」と理解しても良いと思っています。
BONNIE PINKのこの曲で言えば、サブドミナントの代わりにサブドミナントマイナーを使っているようなイメージですが、ごちゃごちゃした理論よりもこういう思い切った使い方の方が個人的には好み。
「サブドミナントとドミナントの間くらいの不安定さ」そんなざっくりした捉え方の方が、思い切った使い方もできるんじゃないかと思うわけです。
使いどころ
J-Popではここぞ!という場面(で飛び道具的に使われることが多いのですが、サブドミナントマイナーの浮遊感をより際立たせるならば循環系のコード進行の中に組み込むことをオススメします。
たとえばⅣ→Ⅲ7→Ⅵm→Ⅰ7で二つ目のⅢ7をⅣm(サブドミナントマイナー)に変えるとか。
完全な循環ではありませんが、BONNIE PINKのこの曲でもサビでの2小節目に出てくる部分がそれに該当しています。
非常に支配力の強い響きを持つコードゆえ、循環の中に組み込み高頻度で鳴らすことで曲全体の雰囲気を支配できるわけです。
この曲に関して言えばAメロでもサブドミナントマイナーが使われており、曲調全体を支配しているとも言えますね。
メロディラインはペンタトニック中心のシンプルな繰り返しのフレーズの方がサブドミナントマイナー感が際立ちます。
↓ちなみにこの曲のAメロでもサブドミナントマイナーが使われています。
サブドミナントマイナーはベース音を他の音に変えることもあり、コードブックなどでは異なる表記がされることも珍しくありません。
コードネームではなく響きで覚えましょう。
以上、学生時代の友人に教えてもらった愛すべき楽曲の紹介でした。
2016/10/9 odasis