【⑨ジャズドラムを打ち込む】ドラム打ち込みのコツまとめ。
2018/05/06
コンボ(少人数編成)4ビートジャズの打ち込み方を解説してみます。
まずはそれっぽく聴こえさせることを目標にしましょう!最後にデモも載せています。
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ジャズドラムは分かりにくい?
ものすごく自由に好き勝手なことをやっているように見えがちなジャズドラムですが、8ビートや16ビートと本質的には同じ。
わかりにくく見えるのはビートの核になっている楽器が違うからです。
核となるビートの上に足していくという作り方は8ビートや16ビートのそれと変わりません。
核になる楽器
まずは基本パターンをみてみましょう。これさえ鳴っていればベーシストは安心します↓
↓8分3連符のグリッドで作ります。3等分の真ん中を抜けばスウィング(シャッフル)します。シャッフルビートについてはググってみてくださいね。
↓MIDIはこんなかんじです。
鳴っているのはライドとペダルハイハットの2つだけですが、ここで重要なのはハイハット。
ジャズドラムと聞いてイメージされやすいのはライドのレガート奏法(チーチッチチーチッチってやつ)ですが、ジャズドラムにおいてビートの核を担うのはハイハットです。
ハイハットが鳴れば曲のテンポが聴こえてきます。
フレーズに変化を与える場合を除いて、ペダルハイハットは一定のベロシティ、オンタイムで4分の裏拍(8分)に鳴らしましょう。ランダマイズの余地はありません。
ライドは4分の裏拍(8分)のベロシティを下げます。ランダマイズさせても良いかもしれません。
スネアを入れる
ここが難しいと思うので少し長めに書きます。
ジャズにおけるスネア
ジャズにおけるスネアの役割は8ビートや16ビートのそれとはまるで異なります。
一定の音で鳴らし続ける役割はハイハット(とライド)が既に担っているからです。
ジャズドラムにおけるスネアは
- ビートの核を担わない
- 装飾的な要素(後述するシンコペーションや主旋律への合いの手など)が強い
- 自由であり個性が出やすい
ものです。
ジャズドラムに規則性が無いように聴こえるのはこのスネアの自由さに起因するものと言えます。
左手はいつも自由
前述の基本パターンではドラマーの左右の手は交差しません。
右手で右にあるライドを叩いていますので左手の可動範囲は広く、また基本ビートは右手(ライド)と左足(ハイハット)のみで成立しますので左手は常に自由。
言ってしまえばどのタイミングでもスネアを鳴らすことができてしまう↓
↑左手は常にスネアに触れています。
パラディドルの訓練をきちんと受けているドラマーはパラディドルの中で、どこで鳴らすかをしっかりコントロールしているわけですが、ややこしくなるのでその辺りは省略します。
「気持ちいい」と感じるポイントを押さえていけばドラマーの思考回路にも近づいていけるはず。とりあえずやってみよう!
打ち込むときのポイント
コツはざっくり下の2つ。
- 低いベロシティで細かく鳴らし続ける。
- 裏拍(8分)に入れる。
やってみます。いつものとおり少しずつ拡張させるように作ってみます。
全部入れる
まずは裏拍全部に低いベロシティでスネアのヒットを入れてみます。ゴーストノートを叩き続けるイメージ。
間引く
次に適当なところの音を間引きます↓
差し替える
音色を差し替えていきます↓
- オープンリムショット(スネアのヘッドとリムを同時に叩いて出す大きい音量のヒット)は鳴らすのにエネルギーが要りますので、入れるときはシンコペーション(後述)などではっきり入れる方が良い場合が多いです。
- クローズドリムショットは左手の持ち方を変えないと出せないので使い方が少し異なります。ペダルハイハットに重ねたりしてシーケンシャルに鳴らしたりすると良い感じです。
クローズドリムショットを入れたパターン↓
キック
キックも役割はスネアと同じですが右足で鳴らす楽器なので入れる位置を右手のライドのアクセントに合わせると自然です。
右半身と左半身は同じ動きをする方が楽なように身体はできていますので表拍の方が多くなります。
アクセントとして後述のシンコペーションに合わせるのも効果的です。
またランダマイズの回で「キックは全部ベロシティは同じでOK」と書きましたがジャズは例外です。
弱いベロシティで小刻みに入れる箇所があっても良いです。
こんなかんじ↓
タム
タムは左手で叩くことが多くなりますのでスネアの音色の選択肢の一部として捉えると良いです。
右手で叩くこともありますが、その時はライドを鳴らさないように注意です。
スネアの音を置き換えるか、スネアが入っていないところに入れると良いです。これもキック同様、ベロシティには幅があった方が自然に聴こえます。
クラッシュシンバル
8ビートや16ビートではクラッシュは「1拍目にズドーン」が定番ですがジャズではそんな鳴らし方はあまりしません。
ライドのアクセントのような位置付け。あるいはシンコペーションで強めに鳴らすのも効果的です。
わからなければ無くてもOKと思います。
シンコペーション
シンコペーション(syncopation、切分法)とは、西洋音楽において、拍節の強拍と弱拍のパターンを変えて独特の効果をもたらすことを言う。(wikipediaより)
俗に言う「食う」というやつですね。
ジャズといえばシンコペーションですが、特にジャズらしいシンコペーションは4拍目のシンコペーションです↓
打ち込むポイントは以下の2つ。
- ベロシティを上げる。
- 複数の楽器を同時に鳴らす。
「複数の楽器」とはライド+キックであったり、スネア+キックであったり、あるいはスネア+キック+ライドであったり。
バンド全体でシンコペーションさせたり、ドラムだけシンコペーションさせたり、鳴らす楽器を変えたりといった複雑で覚えにくいリズムがジャズらしさでもあったりします。
フィルイン
ジャズには分かりやすいフィルインが少ない。
シンバルを4分で入れたり、シンコペーションから入ったり、いろんな方法がありますが、「フィルインを作ろう!」とは考えずに、基本パターンの拡張から作っていく方が楽かなぁ。(これが難しいんですけど…)
分かりやすいフィルインのひとつはスネアロールです。後のデモ音源で使っています。
音色について
ジャズでは余韻がある楽器が好まれます。
打ち込みでやるなら
- 全体的に高めのピッチのものを使う。
- できるだけ木製のタイコを使う。メイプルとかバーチとか。
- タイコ類は繋がりが良い音色を選ぶ。(タム間の音程差が大きすぎないように etc.)
- シンバルはヴィンテージ系のものを使う。
- ミックス時はオーバーヘッドマイク、ルームマイクを大きめに空気感を出す。
といったところ。
今回のデモで使っている音源はSuperior Drummer 2.0です。
作ってみた
全部まとめて作ってみました↓
ドラムソロはこちら↓
MIDIデータ↓おまけ①
おまけ②↓これのドラムは打ち込みです。
ビッグバンドのジャズドラムはコンボのそれとは少し違います。下記記事も参照くださいね!
ビッグバンドジャズのクリスマスソングを作ってみたよ!【#19「Swingin' by the tree / odasis」】
2016/11/18 odasis
目次
その①:必要性について考えるその②:グルーヴの支配者
その③:アクセントのコントロール
その④:ゴーストノートを打ち込む
その⑤:キックの位置
その⑥:ランダマイズの考え方
その⑦:フィルインの組み立て方
その⑧:パーカッションによる補強
その⑨:ジャズドラムを打ち込む