映画・アニメのレビュー

「SHIROBAKO(シロバコ)」にかつてないほど泣いた。クリエイターにとっての作る理由とは?

2017/07/01

先輩にすすめられて「SHIROBAKO」を観ました。

号泣しました。特に最後数話。

ネタバレ注意!できれば読む前にアニメ見てください。

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「SHIROBAKO」とは?

アニメ制作会社に勤める宮森あおい(ミャーモリ)を中心に、アニメ制作の裏側を描く物語。

ミャーモリの友人4人(高校時代のアニメーション同好会の同朋)も登場し、彼女たちの成長と絆も描かれる内容になっていますが、友情を確認し合うわざとらしい描写は少なく、現実に翻弄されながら葛藤する「個人」の描写のほうが印象が強い。

 

あと、巷では「アニメ制作のリアルな実情を描く!」みたいなレビューが多いんですが、それなりに脚色してると思ってます。

監督もそう言ってるし。

 

リアルかどうかさておき(そもそも知らないし)、とにかくクリエイターにとってグッとくるシーンが多かった。

最後の2話はこれまでの人生で一番くらいに泣きました。

 

無責任な監督

作中で監督として登場する「木下」は登場人物の中で誰より無垢で、誰より無責任で、そして誰より自由でした。

©「SHIROBAKO」製作委員会

一度決めた方向性を二転三転させてラインを困らせる。はたから見ると横暴極まりない。

しかし、なんだんかんだでみんな彼の描くゴールに向かって進む。

彼の愛嬌がそうさせる部分もあるのですが、odasisはこの木下監督に「ボスの器」を感じざるを得ないのです。

 

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かの「ケロロ軍曹」の中で、陰湿ながらも頭の切れる部下のクルル曹長が、戦いを前に不安でソワソワするケロロ軍曹に向かって言いました。

ボスは勝つことだけを考えて無責任に前だけ向いてりゃいいんだよ。でないとオレたちが不安になるだろう。

コメディの中に時折鋭いメッセージを混ぜてくる「ケロロ軍曹」ですが、まさにこのフレーズが木下監督にも当てはまる。

 

作品への深い愛と、わがままで図太い拘りが結果的に周りを動かす。無責任に前だけを向くからこそ部下は信じてついてくる

腰の重い組織を動かすのは、ボスの良い意味での無責任さや無邪気さなんだなと改めて感じたのでした。それが全てじゃないけどさ。

 

杉江さんの言葉

作品の随所にメッセージが散りばめられているのですが、特に杉江さんの言葉が分かりやすく響きました。

©「SHIROBAKO」製作委員会

杉江さんはミャーモリが所属する制作会社の年配社員。かつて天才として名の知れたアニメーターでしたが、いまとなっては影を潜めているという設定です。

一言ずつが刺さりましたね。

 

決断する人々

作品の中では何人かが転職を経験します。

特に印象深いのがアニメーション同好会時代のミャーモリの後輩になる「美沙」でした。

©「SHIROBAKO」製作委員会

夢であった3DCG制作に携わるために会社に入ったものの、望んだ仕事ができずに別の会社に移ることになります。

 

「我慢の美」の方が描きやすく、共感もされやすいとは思うんですが、あえて転職という選択を描き、そこから徐々に活路を開いていく。

 

「もう少し続けてみては?」と我慢をすすめる周囲の描写もありましたが、だからこそ美沙の決断がリアルに感じられる

彼女の葛藤に想いを馳せると…あぁまた泣きそう。

 

否定され続ける「ずかちゃん」とミャーモリの視聴者視点での涙

同じくミャーモリのアニメーション同好会の同朋である声優志望の「ずかちゃん」。

©「SHIROBAKO」製作委員会

オーディションでは落とされ続け、鬱屈とした描写が続くものの、最後の最後でミャーモリが制作デスクを務める仕事を掴みます。

 

ずかちゃんの苦労が報われること(そして粋な演出)はもちろん、ミャーモリの涙にもグッと来ましたね。

©「SHIROBAKO」製作委員会

ブースに入ったずかちゃんを見ながらミャーモリが流す涙は、もはや視聴者が流す涙です。

 

アニメに視聴者が感情移入するのではない。

ミャーモリが視聴者の代わりになってアニメの中で泣いているのです。

これが感動せずにいられるか!

 

ミャーモリにとっての「作る理由」

どうして作りたいと思うのか?

 

全クリエイターにとっての永遠の問いについて、

アニメを作ることが好きだし、アニメを作る人が好きだから

そんな答えをミャーモリは出しています。

 

「どうして作るのか?」については、作中の随所で各登場人物がいろんな答えを出していますが、唯一ミャーモリの答えだけがフワッとしている

 

作りたいと願う理由なんて人それぞれ。

言語化できるものもあれば、自分でもよく分からないものだってある。

ミャーモリのこのフワッとした答えは、言葉を尽くした末に最後に残る言葉にできない衝動なんだなと思います。

言葉にできないからこそ、作品を通してのミャーモリの描かれ方そのものが言葉にできない理由なんだなと。

 

何かはっきりと言語化された答えを作品に望んでいた自分の浅はかさに少し恥ずかしくなりましたとさ。

 

おまけ:エンゼル体操

印象に残ったシーンや描写は他にも山ほどありましたがこれくらいにしておきます。

途中で出てくる「天使のような気分になれる」体操↑

やろうとしたけどしんどすぎたよ。

 

2017/6/29 odasis

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