「全クリエイター時代」の心構え。分業ニーズと自己完結ならではの付加価値。
こんなアンケートを実施しておりました↓
【曲を作る人に聞きたいです!】
楽曲制作のどのプロセスまで自分でやりたいですか?
(実際にできるかどうかではなく、どこまでやりたいですか?)— odasis (@odasis) 2017年7月18日
回答数は369票。
- 作曲まで→12%
- 編曲や楽器演奏まで→20%
- 素材の編集やミックスまで→6%
- 全部→62%
こんなに回答が集まると思ってなかったのでびっくり。
結果がなかなか面白いので考察してみます。ちょっと乱暴になるかもしれない。
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アンケートの意図
アンケートの意図は2つあります。
- 個人的な興味
- 音楽の制作プロセスにおけるクリエイターのニーズを知りたい
いまや誰でも作曲ができる全クリエイター時代です。
聴き手だけではなく、その作り手だって大きな市場。
プラグインメーカーの「Waves」のセールに沸き立つタイムラインを見れば一目瞭然。
作り手が落とすお金はすごい額なんです。
odasis自身もギター演奏トラックの提供という、クリエイター向けのサービスをやっているので、作り手の市場は結構気になる。
こおろぎさん(@Kohrogi34)がこんな記事を投稿されておりました↓
「聴き手」だけでなく「作り手」を顧客に想定するだけで仕事の幅が増える。
クリエイターが増えれば増えるほど「聴き手」に向けた競争は激しくなりますが、同時に「作り手」という市場が増えることにもなるはず。
アンケート結果の考察
考察する上でいくつか注意点があります。
- お金にすることを目的にしていないアマチュアから、それで飯を食うプロまでが回答対象になっている。
- 音楽のジャンルが不問である。
- 「できるかどうか」ではなく「やりたいかどうか」なので、実際に品質が担保できているかまでは分からない。
興味本位で聞きたかった部分も大きいので仕方ないんですが、回答者の属性が多岐にわたるためあまり深い考察はできません…
しかしそれでも回答がばらけたのが意外でした。
全部自分でやることのリスク
6割以上の人は全部自分でやりたいという結果。
ちなみにodasisもこの層です。
作る以上はそのプロセス全部を自分の管理下に置きたいというのも自然な話。
しかし、全部自分で作る場合は楽曲の完成度が下がることも多い。
音楽制作で必要なスキルはあまりにも広範囲に及ぶため、(現時点では)1人で完璧な音源を作るのはなかなか難しい。
例えば本気でマスタリングをやろうと思うなら専用スタジオを含めた設備が要るし、何よりノウハウが要る。
多少質は落ちても自分でやりたいという人も多いんじゃないかな。あるいは作るジャンルを限定するとか。
(極端ですが)完成度の高い作品が現れにくい時勢を表したアンケート結果とも言えるのではないかと。
他の人と一緒に作ったからって必ずしも完成度が上がるわけでもないけどね。
演奏家やエンジニアのニーズ
3割の人が編曲・演奏以外の作業はできればやりたくないという結果になりました。
意外と多いなっていうのが個人的な感想です。
編曲と演奏をまとめたので分かりにくいですが、演奏家の需要もそれなりにありそう。
ミックスやマスタリングといったエンジニアリングの需要も同じく。
先ほどのクオリティの話に帰れば、作曲家でそれなりに食えている人たちはこの層に多いんじゃないかな。
あとは他人と制作することによる化学反応が好きな人も多そうですね。バンドマンとか。
業界内の分業体制
プロダクションの形態次第ではあるんですが、大きなお金が動く楽曲制作の現場では各プロセスが分業されていることが多い。
作曲は作曲家に、演奏は演奏家に、エンジニアリングはエンジニアに、餅は餅屋に。
DAWなどの制作ツールの流通により自己完結の制作も増えましたが、それは同時に完成度の低い作品が大量に流通しかねない状態でもあります。
自己完結の作り方をする以上はその付加価値を考えていかないと、分業で得られるクオリティの高さに勝てないんじゃないかな。
まとめ
繰り返しになりますが、このアンケートは回答対象の絞り込みが甘いので、十分な分析にはなっていません。
欠けた部分はodasisの溢れる想像力で補っています。どうかご理解くださいね!
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