とりとめないこと(銭湯)
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実家に帰ると近くの銭湯に行きます。
自宅は近くに銭湯がないこともあって、帰省したときの楽しみのひとつになっている。
行くのはだいたい深夜、11時以降とか。
1人なので誰に気を使うでもなく、ダラダラいろんなことを考えます。
あぁー なんか良いことねぇかなー
作った曲が爆裂ヒットして印税生活できんかなー
でもなぁー それはそれで腐りそうだなー
いやー そんなこと考えてる時間あったら作れって話よなー
いやー ビールにすっかなー
もうお腹チャプンチャプンやし焼酎とかにすっかなー
でも喉乾いたなー
みたいな感じ。頭の中なんてこんなもん。
近所の銭湯は大きいので露天風呂とか壷風呂とかいろんなお風呂があってワクワクするんですけど、大体めんどくさくなって固定位置が決まります。
それも良い。ワクワクできるっていうのが大事。
最近は少年の団体客が多くて騒がしいことも多い。
水鉄砲とか始める。かかる。
下手クソな少年の水鉄砲に「おまえ戦場だったら死んでるぞ!」とか心の中でツッコミながら、追い出されるようにお風呂から出る。
それがまた良い。
いや良くないけど。別に良い。
そしてビール。美味い。
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小さい頃に親父が連れてきてくれた銭湯はそれ自体が大イベントでした。
お風呂はもちろん、お風呂上がりのアイスクリーム(またはジュース)が楽しみで、お風呂に入りながらあとで何を食べるか(飲むか)ばかり考えていたのを覚えています。
最初は炭酸が飲めなかったんですけど、少しずつ飲めるようになってからはMATCHをめっちゃ飲んでました。あとビックル。
不思議なもので当時の「特別感」っていまだに体が覚えている。
何気ない自販機も銭湯にあると何故かテンションが上がるし、スマートボールマシンを見かけると体が疼く。
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でも、そんな特別な存在だった銭湯も、大人になるとやっぱり違うことがあります。
深夜に1人で来ても誰にも怒られないし、ジュースやアイスクリームどころかお酒も枝豆も買えるし、ゲームコーナーだって遊び放題。
当時と全く同じゲーム機がゲームコーナーに置いてあったりするわけですが、「あれ?こんなにチープだっけ?」など思うし。
自販機でジュースを買おうかと思ったりもしますが、やっぱりビールの方が美味しいし。
そしてビール飲みながら特に嘆くこともないのにため息。
それもまた良いんですけど。
「あぁ…おれ大人になったんだなぁ…」と考えてしまうのが、家でも通っていた学校でもなく、近所の銭湯であるのは不思議な感じがします。
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僕はあんまり素直ではないので、過去を振り返って感傷に浸るとかがあんまり得意じゃないです。
不用意に振り返ると、(曲がりなりにも)自分が積み上げてきたものの重さに耐え切れなくなりそうで怖かったりもする。
でも、当時の自分はここにいて、いまもここにいて、しかもそれは「同じ自分じゃない」っていう事実はどうしようもなくあるわけで。
身体の作りも心境も環境も、当時とはまるで違う自分がいまここにいるわけですが、当時の自分もいまの自分も地続きの1人の人間。
そういう残酷な時間の変化って、作ろうとして作った思い出じゃなくて、当たり前にあった日常に感じるんだなぁと、銭湯でそんなことを考えるのでした。
おしまい