【⑦フィルインの組み立て方】ドラム打ち込みのコツまとめ。
2018/05/06
今回はフィルインの組み立て方。
スポンサーリンク
フィルインの捉え方
ドラマーがフィルインを組み立てるとき、頭に浮かんできたフレーズを音にするというよりは、手が動く範疇でフレーズを作っていることの方が多いのではないかと思います。
凝ったフィルインのためにテンポがヨレてしまうのバンドメンバーに一番嫌われるタイプのミスですし、また身体の構造的に自然なフレーズの方がシンプルで曲への馴染みが良かったりします。
できる範囲のことをミスなくこなす。特にリズム隊に求められる姿勢ですね。
打ち込む上でのポイントを上げると
- 左右の手のそれぞれが届く範囲の楽器を鳴らすこと。これはフィルインに限りません。たとえば右利きの普通のドラムセットにおいて左手でライドを叩くのは不自然です。
- ゴーストノートや休符も含め左右の手にアサインされている音符をしっかりイメージすること。その音をどちらの手が弾いているかをイメージしましょう。今回はオルタネイト(左右の手が交互に動く)の手順で作ってみます。
- フィルイン中のビートを把握すること。そのフィルインは8ビートなのか16ビートなのか、拍ごとに変わるのか変わらないのか、頭の中で把握しておきましょう。拍の位置に左右の手が自ずとアサインされます。
- ゴーストノートをしっかり入れる。
上記4点。
以下右利きドラマーの設定で進めます。
組み立て方と基本パターン
組み立ては1拍の短いフィルインをもとにそれを拡張していくことをオススメします。
8ビートも16ビートも共通です。
以下の基本パターン3つをもとに進めます。
基本パターン①
「タカトンッ」ってやつですね。最後にタムが入ります。
↑フィルインのビートは16分。表拍に右手、裏拍に左手のイメージです。
最後の16分音符の位置で左手が自由(休符)になりますが、休符といえどアサインされるのは左手。
ゆえに次の1拍目のシンバルは右手で鳴らすことになります。
基本パターン②
「タッタカ」ってやつ。スネアだけのフィル。
基本パターン③
「チキチーッ」ってやつ。ハイハットだけのフィルインです。
↑最後の8分の裏(16分)も左手が自由になっているのでここに音符を入れることもできますが、身体をハイハットの方に向けていますからフロアタムなんかは鳴らせませんね。(フロアタムが複数ある場合は除く)
拡張する
それでは上記の基本パターンをもとに拡張していきましょう。
尺を長くする
一番手っ取り早いのは基本パターンを組み合わせることです。
③→①を組み合わせるとこんな感じ↓開いたハイハットを踏むタイミングが大事だったりします。
↓ペダルを踏む位置は次の小節の1拍目ですが、この半拍前でも自然です。
②→①の組み合わせ↓
↓そのまま繋げています。
フレーズを変えてみる
②→①で②の部分を少し変えてみます↓
↓ここでも左手と右手は大事です。
一打目のタムは左手になるので二打目のタムは右手が叩きやすい位置のタム、ロータムやフロアタムを当てています。
ゴーストノートを入れる
生演奏らしいフィルインに重要なのはゴーストノートです。
スネアにゴーストノートを入れましょう。強拍の前のロールが効果的です。
一気に生らしくなります。
左手と右手の関係は当然ロールを打ち込む時も同じです。
ロールをたくさん入れたフィルインも良いですね↓
さらに長くする
上記の要領でさらに拡張していけばいくらでもフレーズを作っていくことができます。
↓こんな感じで伸ばして
↓シンバルや3連符、キックのダブルなどを入れて華やかに。大サビ前とかこれくらい派手にしたいところ。
キックについて
右利きであれば右半身は表拍を、左半身は裏拍を叩く方が身体の構造的には自然です。
ドラマーがフィルインで無意識にキックを入れるとき、同じ右半身の右手と同じタイミング(=表拍)でペダルを踏んでいることが多く、表拍に入れられたキックはフレーズに干渉しにくくなります。
逆に左手のタイミング(=裏拍)でキックを入れるとき、それはドラマーが「入れるぜ!」と思っているとき。
すなはちキックがフィルインのフレーズラインの一部を担っているときです。
たとえばこれとか↓
これとか↓
用意すべきフィルインの種類
普通のポップスであればフィルインは4種類もあれば十分です。
そしてそのうちのひとつは上記の基本パターンをそのまま使ってしまってOKです。
ドラマーはバンドメンバーから口を酸っぱくして言われます。
フィルインなんかがんばらんでええからヨレんといて!
あぁ耳が痛い…
ドラマーたるもの、ここぞとばかりフィルインで頑張りたくなるのも分かるのですが、ドラムのフィルインは「うまく叩けて褒められるもの」ではなくて「失敗して怒られるもの」です。
ドラマーの心理と葛藤も念のため押さえておきましょう。
作ってみた
前回の音源にフィルインを加えて作ってみました。
2016/10/27 odasis
目次
その①:必要性について考えるその②:グルーヴの支配者
その③:アクセントのコントロール
その④:ゴーストノートを打ち込む
その⑤:キックの位置
その⑥:ランダマイズの考え方
その⑦:フィルインの組み立て方
その⑧:パーカッションによる補強
その⑨:ジャズドラムを打ち込む