ギターアレンジの実例紹介:その3(前編)
こんにちは。odasisです。
ギターアレンジの実例紹介の第3弾前編です。後編はこちら。
※記事の内容は音源も含めて全てクライアントの許可を取っています。
楽曲
天休ひさしさんによるボーカロイドプロジェクト「亡きカズニールへ」のデビュー曲、「砂糖とミルクを入れる際の情動的な躊躇いについて」という楽曲。
テーマは「不倫されていると分かっている女性のクリスマスの心情」とのこと。意味深すぎる!w
オシャレさとダークさと可愛さが混ざった不思議な楽曲、ベースもドラムも生演奏の宅録とのこと!
他の参加者のみなさんめちゃくちゃ上手くて超クオリティの高い仕上がりになっています!
リズム隊が生だと特にジャズなどは一気に躍動感が出ますね。
天休さんはビジュアルアーツ主宰「キネティックノベル大賞」にて音楽部門の大賞を受賞されています。
大賞受賞のこの楽曲のほか、ビジュアルアーツ様の「LOOPERS」「ルナリア」にも天休さんの楽曲にギターで参加させて頂いています。
準備
それではギターを入れていく準備をします。
受け取ったデモがこちら↓
おぉぉ…難しそうダァ…!!
サビで目まぐるしく転調するのと、ジャズっぽいアプローチだとギターは細かい動きを入れていかないといけません。
他のジャンルと違った難しさがあったりもするのですが、そこが面白さだったりもします。
さすがにこの複雑さだと譜面が無いとしんどいのですが、キレイな譜面を頂けたので無理なく録れそうですね。
クライアントからの要望はこんな感じでした↓
- 明るめの曲調だが明るくハッピーな曲ではなく、どこかジャズっぽい複雑な仄暗さを演出したい。
- 歌詞は表面上「片思いの女性」としても読めるようにしてあるので、どストレートに不倫感は出したくない。
- 明るいけどどこか暗い、大人な感じのジャズロックなテイストな雰囲気にしたい。
- 打ち込みのギターは参考程度に、思いつくものはいろいろ入れて欲しい。
テーマがやっぱり意味深だぁ!w
落とし込み
ひとまず以下の3本を入れてみます。
- マカフェリタイプのアコースティックギターの4つ切り
- セミアコ(エレキ)のクリーンでオブリを入れつつのバッキング
- 変化をつけるためのワウ
①4つ切り
ジャズのバッキングにもいろいろ種類があるのですが、クラシックなアプローチの1つがいわゆる「4つ切り」です。
4分音符を刻み続けるというシンプルなアプローチですね。
場合によってはシンコペーションすらしないこともあり、地味で単調ではあるのですがオケに足すと良い感じに疾走感が出てくれます。
今回使うギターはこれ↓
ジプシージャズで使う楽器なのですが、独特の軽さがあってジプシー以外にも合うことがあります。
1本はマイク録りにしたいなぁと思っていたのでこれを使ってみます。
録った音はこんな感じ↓
②クリーントーンのエレキギター
バッキングの別のアプローチがアドリブ(=即興)で動き回るというものです。
できるだけ固定パターン感を出さないようにするのですが、これがなかなか難しい…
僕はアドリブが苦手なので、パンチインも使いつつフレーズを作り込んでいきます。
使うギターはこれです↓
ジャズでは箱モノ(セミアコ・フルアコ)のクリーントーンを使うことが多いのでセオリー通りにES-335のフロントピックアップを使います。
録った音がこれ↓
先ほどのマカフェリタイプと並べるとサビがこうなります↓
③変化をつけるワウ
2番に入って曲の雰囲気が変わるので、変化がつくようにワウを入れます。
こんな感じ↓
使ったギターは先ほどと同じ335です。
納品
ひとまずこれで納品。
後半へ続く。